ゲンロンSF創作講座 2022(第6期)のふりかえり
TL;DR
- 私の話。他人は知らん
- 最終課題作品の評価がトップになる=ゲンロンSF新人賞をとることが目的
- そのために大森望先生からの評価を最大化するように、自分自身を強化学習した
- だが最終選考組から落ちた
- 敗因は気が散ったのと、局所最適に陥ったことだろう
- 受講してよかった
能書き
私がやりかったこと
- 商業デビューしたかった
- ゲンロンに載ることが最優先。実力的なものが上がることはあるけど、受講の目的ではない。
- 他の新人賞よりは敷居は低いであろう(実際には魔窟だった)
- SFとは何かとか、どうでもよい。
ゲンロンSF創作講座
- 教えてもらう場ではない。講義はない。回数を重ねてひとつずつスキルを上げるみたいな構造はない。
- 梗概では1200字で書く。世界設定と構成で見せる。文体とかで勝ち取ることはできない。
- 梗概評価のとき、3人の講師の評価が高いものから順番に言及され、最後のほうは駆け足になる。言及格差。
- 大森望先生だけが、梗概と実作を連続して読む。実作、選出されたら必ず、読まれて評価をされる。選出されなくても提出してよい。大森望先生は読んでコメントをくれた。作家や編集でもコメントくれる人もいた。けどこれは義務ではない。厚意で読んでくれてる。
- 梗概を評価をする作家講師と編集講師は、実作を評価する作家講師と編集講師とは別である。だから、梗概評価時のアドバイスは、実作にしたときでは評価軸が異なる。
- 最終課題 : 選考は大森望、東浩紀は固定。作家と編集は未定。前回と今年は菅浩江と伊藤靖。途中のスコアは、基本的に関係ない。最終実作の評価で、新人賞が決まる。
方針
- 「大森望先生に評価される」に全振り
- 梗概は、評価される設定と構成を探る手段
- 実作は、評価される表現を見つける手段
講義
もちろん勉強になるんだけど……。メモだけとっておいて、すぐ実践できることはやる、時間がかかりそうなことは「あとでやるリスト」に入れる。
梗概
大森望に高く評価される梗概を作れるか、が課題。設定と構成を探す。
基本的な方針
- 提出する
- 大森望の「僕は○をつけた」「△をつけた」という結果や、「この世界で警察が動いてないのがおかしい」などのフィードバックを注意深く聞き取る
- 「設定世界における、周囲の反応をちゃんとする」など抽象化して、自分のチェックリストに追加
- 次の課題にとりかかる
心構え
- 作家講師、編集講師もいろいろ言うけれど、大森望が賛意を示さなければ、シカトです。
- 選出されるかは、あまり気にしない。作家講師も編集講師も、最終選考作品を選ぶわけではない。
- 課題には沿うけれど、あんまり気にしない。最終選考では、課題はない。でも気にする作家講師、編集講師はいる。
- 文字数は少し(私の感覚だと10%オーバーくらい)は、大森先生は許容する。作家講師、編集講師によっては結構な減点対象になる。
結果
- 大森望先生からの評価はよくなっていった。
- とは言え、作家講師に選出されると浮足立つ(後述)
実作
設定と構成を、具体的な表現にしたとき、大森望先生に評価されるか、が課題。
方針
- 梗概が大森望にそこそこ評価されたときは、できるだけ実作を書く。設定と構成で評価されなかった物語を、挽回できるほど筆力がないという自覚がある。
- 選出されてなくても、大森望に読まれることに賭けて書く
- コメントを次の実作に活かしていった
- 同じ作品をずっとアップデートする感じではないので、そこらへんは難しい。
- だからテイストや文体を変えないようにした。
結果
最終実作
- これまでで一番評価されたの作品を改稿する
- 結果として最終選考には選ばれなかった = 当初の目的は達成できなかった。
最終実作に使った機械学習ネタに自信がなかった。それで、8回目の課題「雨を描いてください」も、梗概で頑張ってしまった。
いま思えば8回目の課題を捨ててもよかったと思う。でも、実作評価されていなくて、びびってて、別の設定+構成でいいのができるんじゃないか、という儚い期待を持っていた。完全に負けギャンブラーのメンタリティであった。
失敗したこと
宮内悠介先生
宮内悠介先生に推されて、選出されたことがある。
ここで浮かれてはいけなかった。会場で「頑張って書きます!」とか言うべきではなかった。大森先生はあまり面白いと思ってなかったから。でも、宮内悠介先生に面白そうって言われて嬉しくてですね。
だからこの回は、大森望の評価に最適化できていない。しかも気負ってしまって、宮内先生がおもしろいと言ったポイントを出せていない。
やさしくされた非モテが、自滅してくようだった。
BFC4
ブンゲイファイトクラブで本戦に選出された。このときも浮足立って、2ヶ月も余裕のあったのに、エゴサばっかりしていた。やさしくされた非モテが、自滅してくようだった。
局所最適
大森望先生の評価をうけて、自分を強化学習する、っていう方針はいい。ただ序盤でもう少しスタイルを変えた作品を書いていてもよかったかもしれない。局所最適に陥って、抜け出せてない感じは否めない。
でもなぁ、あの作品が、あの時点での私のベストなんだよ。
受講生・聴講生
心構え
- どのように読まれるのか? を確認するフィードバックをもらった。
- 自分の文章が他人からどう読まれるか、の認知が私は弱いから。そもそも小説世界で起こっていることを誤解されていたりするのは、問題だし。
- アドバイスはほとんど聞いていない。作家講師、編集講師と同じく、受講生は大森望ではないから。
- でも、アドバイスの裏にある課題はきちんと深堀りするなり、推測するなりした。「ここは、もっと長く書いたほうがいい」というアドバイスの裏には、「何が起こっているか分からない」「展開が唐突すぎる」などの課題があるから。
Slack / Discord のワークスペースを作って、メーリングリストに招待を送った。
- General 、雑談、告知、梗概感想、実作感想くらい。それに加えてオンラインでの感想会とかつくってた。Discord がいいって感じだったけど、しょうみ3ヶ月前とか見なくていいと思う。
- 提出締切の 2週間前、1週間前とかに、「書いたから読んで!」って投げて、お互いに読んで、コメントするっていう運用。
- もうちょっと組織だったやりかたもあるかもだけど。私は非同期がいいなーって感じだったので、チャットでよかった。
身バレを防ぎたい人のために
- メーリングリストや Slack では、メールアドレスが割れるので、そのつもりで。差出人の名前とか漢字で書いてあると出るので、そのつもりで。
- 原稿を見てもらうとき、WordとかPDFのファイルのメタデータに、自分の本名とかメールアドレスが入ってることがある。
他の受講生の作品
- 大森望ならどう評価するか、をメモしておいた
- 実際の評価と比べる
- これを繰り返して、大森望の認知モデルを、強化学習していった。つもり。
結果
- 知り合いができたのは嬉しい。仲間探しは目的じゃなかったけどね。
- 私は飲み会が好きだけれど、まあ、長いし夜遅いし、コスパは悪いと思う。ちょっと顔だして、話したい人と話して帰るのが ROI はいいと思う。
- だが飲む。
- オンラインもあったしね。
最終実作
- これまでで一番評価されたの作品を改稿する
- 結果として最終選考には選ばれなかった = 当初の目的は達成できなかった。
いま思えば8回目の課題「雨を描いてください」を捨ててもよかったと思う。でも、最終実作に使った機械学習ネタに自信がなかった。ここでひよるべきではなかったとは思うけど、まあ、そのときには判断できなかった。判断の余地を残さず、最初からここは捨てる、と決めておいたほうがよかったと今なら思う。
でも、実作評価されていなくて、びびってて、別の設定+構成でいいのができるんじゃないか、という儚い期待を持っていた。完全に負けギャンブラーのメンタリティであった。
まとめ
- リアルな評価をされる場である。教えてもらう場ではない。
- 文芸一般と同じく、首尾一貫した評価軸、などというものは存在しない。けれど、確率を高めることはできる。
以上を踏まえて、自分の目的とアライメント取れてるなら、有意義な受講になると思う。私にとっては有意義であった。